波尾の選択 傑物たちの至言に触れて

名言を超えた至言。生を突き詰める傑物達。至言に触れて触発された想いを綴ります

傑物の至言-45 岸田秀

日本の近代は明治維新以来のナショナリズムの動員に由来します。しかし戦後は、戦勝国アメリカが標榜する自由と民主主義に基づく価値観に全面更新されました。 戦後の日本人を精神分析すると、「攻撃者との同一視」がうかがえます。疑似的に勝者の立場に身を…

傑物の至言-44 倉本聰-2

みんな、ものを考えなさすぎる。上の方からの発想ではなく、もっと下から物事を見て、視野や議論の場を広げなければいけない。海抜ゼロから考える姿勢が必要な時代に来ている」 「未来は暗いですよ。若い人たちを見ていると、知識はあるけど、知恵がない。 (…

傑物の至言-43 倉本聰

純「電気がなかったら暮らせませんよッ」 五郎「そんなことないですよ」 純「夜になったらどうするの!」 五郎「夜になったら、寝るンです」 (『北の国から』での台詞) 日本人は便利であることが豊かさであると捉えています。しかし「豊か」を辞書で引くと…

傑物の至言-42 Bruno Dumont(ブリュノ・デュモン)

「映画というのはカット自体が意味を持つのではなくて、カットとカットの関係から意味が生じます。ですから私はなるべくニュートラルな演技を求めます。そのカットを編集して初めてそこに意味が生じます。 私は過剰な演技、はっきりと意味が読み取れるような…

傑物の至言-41 Bill Evans(ビル・エヴァンス)

真剣にジャズ・プレイヤーになろうとするならば、ジャズ・プレイヤーには自分自身以上の教師はいないという結論になります。 (1959年マサチューセッツ州レノックスのジャズ音楽学校の臨時講師を務めた後のコメント『ビル・エヴァンス ジャズ・ピアニストの肖…

【Greatest Classical Music Recordings】BBC

クラシック畑でも同様のALL TIME BESTがこれも何故か2012 1位 ワーグナー/ニーベルングの指環(ゲオルグ・ショルティ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)/デッカ/1965-1966年Wagner: Der Ring Des Nibelungen-Solti / Wiener Philharmoniker / Decca (1956-…

傑物の至言-40 Van Morrison (ヴァン・モリソン)

『One for the money , two for the show ~(1に金、2にショー)』だなんて勘弁してくれよ。ロックは反体制でなくちゃ。ロックンロールとは自由なんだ。 1に金なんてのは、ロックンロールの意味したところから余りにも掛け離れている。 ロック・スターなんて…

【映画批評家が選んだ】映画ベスト10 2012年(BFI)

【映画監督が選ぶベスト映画】と同時に実施された【映画批評家が選んだ映画】、 1位「めまい」 アルフレッド・ヒッチコック監督 2位「市民ケーン」 オーソン・ウェルズ監督 3位「東京物語」 小津安二郎監督 4 位「ゲームの規則」 ジャン・ルノワール監督 5位…

【映画監督が選んだ】映画ベスト10 2012年(BFI)

- The Directors’ Top 10 Greatest Films of All Time - (英国映画協会(BFI)による2012年版) 1位/東京物語【 監督 】 小津安二郎【 出演 】 笠智衆 2位/2001年宇宙の旅【 監督 】 スタンリー・キューブリック【 出演 】 キア・デュリア 3位/市民ケーン【 …

傑物の至言-39 Ivo Pogorelich(イーヴォ・ポゴレリチ)

私の演奏では無作為に出て来る響きはひとつもありません。すべての響きはまず私の頭の中に現れ、思考を続けてから演奏されます。 これは「カンフー」です。カンフーの名人は煉瓦を割るとき、手を降ろす前にどれだけの力が必要で、どの角度で煉瓦を割るべきか…

傑物の至言- 38 Paul Simon/ポール サイモン

~ Ten thousand people, maybe more People talking without speaking People hearing without listening People writing songs that voices never share And no one dared Disturb the sound of silence ~ 一万人、いやもっといるかな 喋っていながら話し…

傑物の至言- Contents(目次)

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傑物の至言-37 カズオ・イシグロ

自分がどうして小説を書くようになったのかと振り返ってみると、自分にはない記憶を何とかして書き留めるということです。 ー想像力を羽ばたかせて書くのでしょうか それほど羽ばたかせませんね。私はかなり抑制の利いた作家です。 一揃いのテーマが先にあっ…

傑物の至言-36 古井由吉

長い歴史を見ていると、文学はどうも必要なもののようですよ。社会が行き詰まったときを境に、また文学への欲求が出てくると思う。文学の生命は、東西の歴史を見る限りかなり強い。その点で僕は楽観的です。 (中村真理子)=朝日新聞2019年2月6日掲載/最新…

傑物の至言-35 山崎努-2

僕のモットーは、つねに“俳優のアマチュアで、わかっていることはないんだ”ということです。実際、俳優として僕はアマチュアだと思っています。長くやっているから演じる技術は覚えたし、それで食べてもいる。でも、演技について、実は何の確信も自信ももっ…

傑物の至言-34 山崎努-1

自分が好きな人物を演じるのは難しいということが、改めてわかりました。役づくりというのは、その人物の欠点とまではいわないけれど“ 歪み”を見つけることなんです。よくいえば個性とか人柄なんですが、その人物の歪んでいる部分を探り出す。人生のうまくい…

傑物の至言-33 Michael Haneke(ミヒャエル・ハネケ)

—さまざまな解釈ができるエンディングを描いていますが、いまだに『隠された記憶』や『ピアニスト』のエンディングについて聞かれることはありますか。 「もちろん。観客が問題に向き合い続けてくれるなら、私は嬉しいよ。もし全てが説明されれば、すぐに忘…

傑物の至言-32 Jim Jarmush /ジム・ジャームッシュ 

──あなたは昔からずっとハリウッドのルールに背いてきていますね。 J ハリウッドのルール本というものがあるのだとしたら、僕は読んだことがない。もし手元に回ってきたら、開く前に焼いてしまうだろう。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のときから、…

傑物の至言-31 Nelson Mandela/ネルソン・マンデラ

奴隷制やアパルトヘイトと同様に、貧困は自然のものではなく、人間から発生したものだ。 よって貧困は、人類の手で克服し、根絶できる。 (ネルソン・マンデラの発言より) 全く、完全にその通りだ。 Nelson Mandelaが生涯を自身の存在を掛け訴え続けたにも関…

傑物の至言-30 色川武大/阿佐田哲也

全勝を目指しちゃいけないんだ。 人生そんなに上手くゆくわけはないし、 全勝を目指す人は、 弱いところがあってね、 1敗しただけなのに 折れちゃうことがあるんだ。 人生、適当に負けることが大事さ。 アマチュアはね、次の目を丁か、半か、あれこれ思案し…

傑物の至言-29 安藤忠雄

便利とか快適、画一的な豊かさばかり追い求めてはいけない 日本は近頃、元気がないんじゃないか。 これはとくに若い人たちの姿を見て、実感するところです。株価や物価指数、賃上げのベースアップといった数値とは関係なく、人の気持ちが縮み込んでいるよう…

傑物の至言-28 Neil Young(ニール・ヤング)

俺は音楽の世界で既成概念とされてる現状を、そのまま受け容れる気はないんだよ。Spotifyを使ってる連中が聴いているのは、元々の音源の5%以下、せいぜい3%ちょっとだ。それ以外のところはまっすぐゴミ箱行きなんだぜ。まるでサウンドの表面的な部分だけを…

傑物の至言-27 Lou Reed(ルー・リード)

「ないよ、ない。ビートルズなんか好きだったことは一度もないから。ゴミだとしか思ったことがないから。じゃあ、誰が好きだったのかと訊かれれば、誰も好きじゃなかったっていうことだね」 -ビートルズやジョン・レノンへの共感などはなかったのか、問われ…

傑物の至言-26 芥川龍之介

我々の生活に必要な思想は三千年前に尽きたかもしれない。我々はただ古い薪に新しい炎を加えるだけであろう。 矜誇、愛慾、疑惑――あらゆる罪は三千年来、この三者から発してゐる。同時に又恐らくはあらゆる徳も。 物質的欲望を減ずることは必しも平和を齎《…

傑物の至言-25 Coen Brothers - Joel Coen & Ethan Coen(コーエン兄弟-ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン

この映画は本当に物語がなく、筋もない。だから私たちは猫を加えた。そう、猫を中心に映画は展開する 2013年カンヌ国際映画祭「Inside Llewyn Davis(インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌)」上映後会見にて 1996年『Fargo(ファーゴ)』とい…

傑物の至言-24 Jean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)  −3

ー『愛の世紀』の際に、「撮影にはうんざりする」と言っていたのを、 どこかで読みました。今では、長編の中から撮影の過程が取り除かれた ことがわかります。アーカイブの映像だけで成り立っています。 どのようにお考えですか。 「それが、撮影というもの…

傑物の至言-23 Jean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)  −2

映画とは「X+3=1」である。学校教育を始めたばかりの子供からウンチのにおいがするようにして、容易に理解できるはずです。もしX+3=1ならば、この「=」は「-マイナス2」です。過去、現在、未来のいかなるイメージであれ、真の音や真のイメージが存在し始め…

傑物の至言-22 Jean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)-1

私の年齢になると、出来事のなかで興味深く感じるのは、成されたことだけではなく、成されなかった事でもあるのです。この二つを持ってして、その二つを読み取る必要があります。 〜 〜残念ながら、世界には、僅かな知性と多くの哀れみがあるだけです。 2018…

傑物の至言-21 渥美清

ー当初から(「男はつらいよ」の)シリーズはこれほど続くとは思われましたか「いえいえぜんぜん、一本だけのつもりでしたから」ーそれが26年ですか・・・「そうですね」ー寅さんのようになれたらいいなと思われた時はおありですか「そうですね こんなふうに…

傑物の至言-20 忌野清志郎

うーん、大人がやっぱりもっと真面目になんないとダメだと思うんです。真剣に生きるっつーかねぇ。いい加減な大人が増えたんじゃないですかね。子供から見て大人が怖くもないし、尊敬もできないっていう。2001年6月号ルーフトップのインタビューから こんな…